観衆:702名
第0試合 Annaデビュー戦 シングルマッチ 15分一本勝負
Anna vs網倉理奈

●Anna(6分50秒 ギブアップ)網倉理奈◯
※カナディアンバックブリーカー
3度目のプロテスト受験で合格し、わずか2週間でAnnaがプロとしてのスタートを切った。Annaは2009年7月30日生まれの16歳。全日本女子プロレスの動画を観たことがきっかけで女子プロレスに興味を持ち、井上京子にジャガー横田、佐藤綾子と元・全女3人を擁するディアナに入門。「他の団体じゃなくて、ディアナがいいと思った」と話すほど、全女、とりわけ井上京子への憧れは強い。その思いを持って2023年からディアナの練習に参加。地元の愛知県刈谷市から川崎市の道場へ通っていたが、高校入学とともに入寮。155センチ48キロと小柄だが、大きな夢を持ってプロレスラーとしてのデビューを迎える。
Annaが和風のメロディに乗せてミントグリーンのコスチュームを纏って入場すると、観客は温かい拍手と声援で迎える。このコスチュームは試合当日の朝になってやっと完成したもの。入場曲もオリジナルで制作した。デビューに向けて本人が練習に励む裏で、関係者が急ピッチで動いていたのだ。
2度目のプロテストでは「感情が出ていない」と京子に指摘されていたAnnaだが、見違えるように大きな声で「お願いします!」と網倉に握手を求め、大声自慢の網倉も笑顔を見せる。ゴングが鳴るとロックアップからの押し合い。網倉のパワーには敵わないが、とにかく声を出して懸命に立ち向かう。ヘッドロックやキャメルクラッチでぐいぐい絞られ苦しみながらも、なんとか堪えるAnna。網倉が手荒いデビュー祝いで逆水平チョップをお見舞い。さらにヘアホイップでぶん投げる。やられっぱなしのAnnaだが、スクールボーイで反撃!そして3連続ドロップキック。デビューが決まるまでは受け身やロープワークを磨き、技はこの2週間の特訓で身につけたものだ。Annaは堂々とエルボーを打ち、クロスボディを浴びせる。Annaが「上げるぞー!」と宣言すると観客はどよめき、手拍子で後押し。しかし網倉の体は上がらず。網倉は軽々とAnnaを持ち上げ、ボディスラムでマットに叩きつける。Annaがフォールされると、井上京子らセコンドから「返せ!返せ!」の声が飛ぶ。返したAnnaは逆さ抑え込みやスクールボーイ、とにかく今できることを全力で網倉にぶつけた。Annaの頑張りに呼応してセコンド陣も「攻めろ!攻めろ!」とますますヒートアップ。Annaの全力を受け止めた網倉は逆片エビ固めでしっかりと腰を落とす。客席からはため息が漏れるが、音を上げず粘るAnnaに手拍子でエールを送る。Annaは京子や香藤ら先輩達の声に導かれ、ロープに向かって少しずつ近付いていく。ようやくエスケープしたAnnaだが、続くカナディアンバックブリーカーで激しく揺さぶられるとたまらずギブアップ。6分50秒、夢のデビュー戦終了のゴングが鳴った。
柔道と剣道の経験があるAnna。これまでのスポーツ経験はどれも長続きしなかった。一番長く続いているのがディアナ入門からのプロレスだ。とはいえAnnaのプロレス人生はまだまだ始まったばかり。ここから続いていくAnnaのプロレスラーとしての歩みに、どうぞご期待ください!
Anna(アンナ) プロフィール
生年月日∶2009年7月30日
出身地∶愛知県刈谷市
スポーツ経験∶剣道、柔道
身長155センチ、体重48キロ。
YouTubeで全日本女子プロレスの動画を観たことをきっかけにプロレスに興味を持ち、憧れの井上京子がいるディアナに2023年入門。2025年9月、公開プロテストに三度目の受験で合格した。
第一試合 シングルマッチ 20分一本勝負
シャンシャンvs葉月

●シャンシャン(10分55秒 片エビ固め) 葉月◯
※ダイビングセントーン
第1試合は台湾からシャンシャンが登場!大学の長期休暇時にディアナへ留学に来ているシャンシャン。9月には夏の留学を終えて帰国し、ビッグマッチのため早くも再来日。拠点は台湾だが、ディアナの一員としてオープニングマッチを務める。その対戦相手はスターダムの葉月。これまで数々のタイトルを獲得している実力派だ。ここ最近はスターダムを飛び出し、WAVEやOZに仙女、シードリングと多数の団体に参戦。CMLLへの参戦も決定しており、活躍の場を広げまくっている人気者。満を持してのディアナマット初登場!
葉月はシャンシャンについては「星野から受け継いだコスチュームを着とるってことは知ってる」と話す。2024年7月26日、元スターダムの星野唯月がディアナマットで異例の引退セレモニーを行い、その後はコスチュームをシャンシャンに託している。
シャンシャンは葉月の思いに応えるように、その白いコスチュームを着用してリングイン。まずはシャンシャンが連続ドロップキックにエルボー乱れ打ちで先制攻撃。しかし葉月がお返しのドロップキック一発でシャンシャンを吹っ飛ばす。早くも力の差を見せつける葉月は、ファンの手拍子を煽りながらボディスラム、セントーン、ヘアホイップと連続攻撃。そして得意の顔面ウォッシュに逆エビ固めと勢いが止まらない。シャンシャンがロープに手を伸ばすと、リング中央へ引きずる葉月。命からがらエスケープしたシャンシャンを嘲笑うかのように顔面に蹴りを入れる葉月はまだまだ余裕の表情だ。シャンシャンがエルボーを打っても「効かねーぞ!」。劣勢のシャンシャンは葉月の突進をブリッジでかわすと、スタナーやランニングネックブリーカーに鎌固めと反撃開始。ロープを掴んだ葉月に追撃の低空ドロップキックを浴びせる。シャンシャンがしつこく押さえ込んでいくが葉月は全てキックアウトし、クロスフェイスロックで捕獲。シャンシャンがロープに辿り着いてもなかなかクラッチを解かない葉月。反則カウント4でようやく解除すると、間髪入れずダイビングセントーン。シャンシャンがこのフォールを返すと、手応えを感じた葉月は笑顔。もう一発セントーンを落とした葉月だったが、これはシャンシャンが回避し逆襲のミサイルキック。続くトルネードDDTや美しいブリッジのフィッシャーマンズスープレックスでフォールするも葉月の肩が上がる。葉月のクロスフェイスロックにまたも捕まり、強烈なビッグブーツをまともに食らいながら粘り続けるシャンシャン。連続の丸め込みで諦めずにフォールを取りに行くが試合巧者の葉月の牙城は崩せず。葉月が三度目のダイビングセントーンをコーナー最上段から発射し、勝負を決めた。シャンシャンのことはコスチュームしか知らなかった葉月だが、試合が終われば「めちゃくちゃいい選手でした。想像の何倍も思いっきりが良くて、試合しとって楽しかった」。葉月とシャンシャンの初遭遇は観客の大きな拍手に包まれながら幕を閉じた。
第二試合 スペシャル6人タッグマッチ 30分一本勝負
美蘭&香藤満月&尾﨑妹加vs世羅りさ&本間多恵&優宇

◯美蘭&香藤満月&尾﨑妹加(15分47秒 ウラカン・ラナ) 世羅りさ●&本間多恵&優宇
引退を控えた3人が激レアトリオを結成!
来年1月に引退する世羅りさの対角には、愛するパートナーの美蘭。2人でタッグベルトを巻く野望はまだ潰えておらず、信頼し合うからこその激突に注目だ。
年内で引退する優宇は女子プロ界きってのヘビー級パワーファイター。香藤にとって憧れであり、追いかけたい背中だ。ビッグマッチでビッグな2人がぶつかり合う。
そして本間多恵の引退試合は約1週間後に迫っており、ディアナへの参戦はこれが最後。良き友であり良きパートナーの尾﨑が相手だ。
リングを去る者がいて、送り出す者がいる──それぞれの思いを紡ぐ、もう二度とない6人の戦いが始まる!
世羅命名“引退三銃士”は最も引退が近い本間の入場曲でリングイン。会場に駆け付けたファンは万感の思いで名前を呼ぶ。対する見送り軍は、香藤が試合開始前から早くも大泣き…。「泣くな」「まだ早い」「終わってからにしろ」と全員が総ツッコミだ。香藤の涙でみんなが笑顔になったところで、試合開始のゴング!まずはSPiCEAPの2人が先発。ファンは大・多恵コールで歓迎する。ロックアップからの押し合いで尾﨑が圧倒し、香藤も加わりWタックル。そして美蘭もドロップキック。しかし今回は対戦相手のはずだが、いつもの癖で(?)SPiCEAPの連携が見事に決まってしまう。優宇が「ふざけんな」と割って入り、今度は引退三銃士のトレイン攻撃が尾﨑を襲う。そして優宇と尾﨑のド迫力のマッチアップ。香藤が優宇の足を引いて転ばし、そこに尾﨑がエルボードロップとセントーンを投下。尾﨑からタッチを受けた美蘭は威勢よくドロップキックを放ち、「上げるぞー!」とボディスラムの構え。ところが優宇の鍛え上げた巨体はびくともせず…。優宇が美蘭を場外へ落とすと、日曜日のお昼にぴったりなみたらし団子。体重が47キロしかない美蘭には「もっとごはんを食べろ!」と一言。そして優宇から世羅に替わり、ブルーオーキッド対決に。世羅がリバースカンパーナで揺さぶり、腰を踏み付け、髪を掴んで引っ張る。世羅が美蘭を赤コーナーに連行すると、本間が美蘭の明るい未来のために邪気払い。美蘭は串刺しドロップキックで尾﨑にチェンジ。尾﨑はタックルにラリアット、本間はサブミッションと、互いに持ち味を活かすSPiCEAP。替わって入った香藤と優宇はもちろんタックルで激しい肉弾戦。両者一歩も引かない白熱の攻防に。香藤が優宇を場外に落とすことに成功し、香藤はまさかの「みたらし団子、もらいます!」。大粒の涙をこぼしながら、優宇から継承したというみたらし団子で突撃!リングに戻ると優宇は「ナメんじゃねぇぞ!」と逆水平チョップ。香藤もエルボーで応戦するが、優宇の怪力には敵わず。何とか立ち上がった香藤も怪力を発揮。何と95キロの優宇にボディスラム!観客は拍手喝采!大盛り上がりの中両軍チェンジし、美蘭と世羅のマッチアップ。美蘭がクリストで絞り、エスケープした世羅に追い打ちの619。軽やかな動きの美蘭に対し、世羅はエアーズロックIIで豪快にマットに叩きつける。一番大好きで、一番信頼するパートナーだからこそ勝ちたい美蘭。羅紗鋏を切り返して丸め込み攻勢でひたすらフォールを奪いに行くが世羅が全てキックアウト。美蘭が鮮やかなライオンサルトからフォールすると、カットに飛び込もうとする優宇の影が…。危険を察知した美蘭が回避し、優宇のセントーンが世羅に誤爆。そして香藤めがけて放つ本間のドロップキックの着地点がまさかの世羅。味方からのプレスを浴びまくった世羅は大ピンチに。思わぬ形でチャンスが巡ってきた美蘭は、勢いよく飛びついてウラカン・ラナ!美蘭が全身の力を使って世羅を押さえ、今井レフェリーがマットを3回叩く。世羅からのピンフォールはもちろんこれが初めてだ。美蘭は思わず涙。そして香藤、尾﨑も…。美蘭と世羅、尾﨑と本間、香藤と優宇はそれぞれ抱擁。6人の互いを思う気持ちが1つになり、観客の温かく大きな拍手が包み込んでいた。
第三試合 4WAYタッグマッチ 30分一本勝負
[AGE115]ジャガー横田 & 尾崎魔弓VS[プロミネンス]夏実もち & 柊くるみVS[INVA]Himiko & クームーVS[オリエンタルいのしし]真琴 & 神姫楽ミサ

[AGE115]◯ジャガー横田 & 尾崎魔弓(9分17秒 片エビ固め)真琴 & 神姫楽ミサ●[オリエンタルいのしし]
※浴びせ蹴り
※もう2組は[プロミネンス]柊くるみ&夏実もち、[INVA]Himiko&クームー
ギネス世界記録タッグがディアナマットに登場!ハチャメチャ4WAYタッグマッチを制した。
2023年、最高齢女子タッグチャンピオンとしてギネス世界記録に認定された“AGE115”のジャガー横田と尾崎魔弓。現在ジャガーは64歳、尾崎は56歳、計120歳とさらなるレベルアップを遂げてディアナマットへ登場だ。そしてディアナを侵略中の“Invader or Innovator”Himikoとクームー、ハードコアユニット“プロミネンス”柊くるみと夏実もち、タッグ力は未知数の“オリエンタルいのしし”真琴と神姫楽ミサ、個性豊かなチームが大集結する。
各チームがAGE115に奇襲を仕掛け、ゴングが鳴る。尾崎が早速チェーンを取り出し、凶器攻撃で一掃。このうちにジャガーを捕まえていたのがINVAのHimikoとクームーだ。Wタックル、この日が日本ラストマッチとなるクームーのクロスボディ、Himikoのギロチンを連続でお見舞い。ジャガーが肩を上げるとプロミネンスがAGE115を排除。残る3チームでの戦いに。真琴が夏実を、神姫楽がHimikoを捕らえるが、オリエンタルいのししは誤爆してしまう。そしてINVAが神姫楽と夏実を転がしてWフォール。真琴と柊がそれぞれカットしカウント2に終わり、長身のクームーと力自慢の柊のマッチアップに。クームーのビッグブーツをかわした柊が夏実との息ぴったり連携攻撃。柊がクームーに、夏実がHimikoに同時発射リバーススプラッシュ。続いて真琴に目をつけたプロミネンス。怯えた真琴が「私達、元アイスリボン。一緒にやりましょうよ」と共闘を持ちかけるも全く応じない。プロミネンスの集中砲火を浴びてしまう真琴に神姫楽が助太刀。プロミネンスを場外へ引きずり落とし、リング上からダイビングセントーンを投下!真琴も追撃のWニー。ここまでの3組の戦いを花道でのんびりと観戦…いや、虎視眈々とチャンスをうかがっていたAGE115。リングに1人で戻った神姫楽に、獲物を狙う猛獣のごとく牙をむく…。神姫楽1人に対し重鎮2人が襲いかかると、神姫楽も果敢にジャガーに立ち向かい、真琴も帰還して加勢。INVAもジャガーをターゲットに猛攻だ。神姫楽がジャガーをフォールすると、尾崎がチェーンをレフェリーに向かって投げつけて強引にカット。そしてチェーンで神姫楽をブン殴り、リングから落下させる。後輩たちを場外で一気に捕まえた尾崎。そこにジャガーがダイブして浴びせ蹴り!最もダメージを受けている神姫楽をリングに投げ込むAGE115。合体ブレーンバスター、尾崎の裏拳にオザキック、トドメはジャガーの浴びせ蹴り!猛獣ジャガーが獲物のイノシシを仕留めた。AGE115、大ベテランならではの試合運びで完勝だ。
第四試合 シングルマッチ 20分一本勝負
羽多乃ナナミvsまなせゆうな

●羽多乃ナナミ(12分35秒 体固め) まなせゆうな◯
※ラリアット
ビッグマッチでの一騎討ちが決まった2人は、口を揃えて「まさか」。ナナミの念願叶ってのカードだが、まさか後楽園大会で実現するとは思っていなかったようだ。ナナミがガンプロへ、まなせがディアナへ参戦する機会も多くなり、3.23アミスタではタッグを結成している。そんな2人が全身全霊のぶつかり合いで魅せた!
ゴングが鳴ると2人はいきなりタックル合戦に。両者倒れることなく持ちこたえ、お次はエルボーの打ち合いだ。そしてまたタックル。まなせはヘッドロックでナナミをしつこく絞り、ナナミが抵抗しても離さない。ようやく脱出したナナミにまなせがタックル。ナナミはエルボー。ナナミのボディスラムを許さないまなせがボディスラム、そしてしつこく押さえ込む。まなせが何度もフォールし、ナナミが何度も返す。ナナミが力いっぱいのボディスラムでまなせを叩きつけると観客は拍手喝采。2人のシンプルかつド迫力の攻防に大盛り上がりだ。ナナミはまたもまなせにタックル合戦を挑む。まなせは「倒れるか!」と意地を見せる。セコンドについた網倉理奈の「ナナミ!倒せ!」の声に背中を押され、ナナミは何度も何度もまなせに向かっていく。そしてロープの反動を使い、勢いよく突進した渾身の一撃でまなせをようやく吹っ飛ばす。ここからさらに勢いづくナナミはトップロープへ。しかしまなせも立ち上がってコーナー上の攻防に。まなせがヘッドバットでナナミの動きを止め、デッドリードライブで投げ落とす。そして拳を高々と突き上げて無言の勝利宣言だ。ナナミはまなせがラリアットで向かってくるのをスリーパーホールドでうまく捕まえ、胴締めもがっちり加えて絞め落としにかかる。まなせは落ちる前に足がロープに届いてブレイクし、ブレーンバスター。ナナミはタックルでなぎ倒し、裏投げ、もう一度タックル。死力を尽くす2人はWダウン状態に。そこから先に立ち上がったのはナナミだ。ノーザンライトスープレックスにダイビングボディプレス、そしてまたもタックル…が、これをまなせがカウンターのラリアットで迎撃。トドメはしっかり助走をつけた豪快なラリアット。大熱戦を制したのはまなせゆうなだ。戦いを通じて心が通い合った2人は、「夢見る少女じゃいられない」をBGMに握手を交わした。
バックステージでまなせは「ナナミって眩しいじゃん。私はプロレスやってて苦しいとか辛いとかが長かったから、ナナミみたいな眩しい子見てると悔しくなっちゃう。今月は個人的にテーマのある試合が多くて、その中でビッグマッチでナナミとシングル組まれるのが私の中でかなり大きい」と、この戦いに込めた思いを明かす。ナナミは「明日10月6日でデビュー6年。キャリアはもう若手じゃないしもっとちゃんとしなきゃいけないし…今日まなせさんとシングルできて、これからもプロレスは大好きだし今まで以上に頑張っていこうと思いました」と悩みを吹っ切れたようだ。まなせは「プロレスってもっと自由だから、こいつウゼーなと思ったら殴ればいいし、もっとやりたいと思ったら起き上がればいい。ナナミはこれからの女子プロレスを引っ張っていく凄い存在だと思ってる。ナナミに勝ったんだから私はまだ、諦めずにやるよ。だからもっとガンプロ出てよ」と熱いラブコール。リングでは激しく思いをぶつけ合った2人は、互いを思う気持ちを語り合った。2人にとってもファンにとっても、再戦の日が待ち遠しくなる一戦だった。
第五試合 セミファイナル
W.W.W.Dエリザベス選手権試合 30分一本勝負
[王者]井上京子vs[挑戦者]渡辺智子vs[挑戦者]宮崎有妃
※第19代王者6度目の防衛戦

[王者]◯井上京子(12分39秒 体固め)宮崎有妃●[挑戦者]
※第19代王者6度目の防衛に成功
※ラリアット
※もう1人は[挑戦者]渡辺智子
7回の防衛を目標に掲げる井上京子。「やりたい相手」として宮崎有妃と渡辺智子の名前を挙げており、念願叶ってカードが決定した。宮崎とは4.27後楽園でのハードコアエリザベス戦が予定されていたが、もう1人の挑戦者・永島千佳世が急遽欠場。カードはハードコアシングルマッチに変更され、ビッグマッチでまさかの京子撃沈…。京子は王者ながら元・NEOの後輩で挑戦者へのリベンジに燃える。そしてもう1人の挑戦者は渡辺智子。渡辺は元・全女で元・ディアナ。久々のディアナマット登場とあって注目が集まる。関わりの深い2人を挑戦者に迎え、井上京子がV6へ向けて出撃だ。
京子はキャリア37年にして新たに制作された入場曲でリングイン。ディアナが来年で旗揚げ15年の節目を迎えるということもあり、これまでの歴史、これからも続く伝説をイメージさせる壮大な一曲に仕上がった。
気合みなぎる京子に、宮崎と渡辺は手を組んで対抗。ツープラトンブレーンバスターで先制攻撃だ。宮崎がすかさずフォールすると、渡辺は頭を踏みつけてカットし「何やってんだお前!」と一喝。怒りにまかせて宮崎を場外へ放り投げ、京子めがけて突進!…のはずが、宮崎が場外から渡辺の足を引いて転ばせ、「京子さん!やりましょう!」と大好きな京子に共闘を持ちかける。京子との息ぴったりの連携を決めたかと思えば、京子に蹴りを入れて排除する宮崎。渡辺に狙いを定め「カメラの準備をしろ!最強主婦レスラーに、はずかし固め!」と宣言するも、京子が阻止。だが京子の「誰が見たいんだそんなもん」の一言が渡辺に火を付けてしまう…。怒りの渡辺が京子に「クソババア!」と強烈なラリアット。そして宮崎にもラリアットをお見舞いする。京子が渡辺をジャーマンで投げれば、渡辺も京子にジャーマン。そして渡辺と京子はラリアットの打ち合いに。宮崎は京子とタックル合戦。激しいぶつかり合いで京子がリング外へ転げ落ちると場外乱闘勃発。渡辺と宮崎のイス攻撃やサンドイッチラリアットを食らい、大ダメージを負った京子。それでもリングに戻ると渡辺を串刺しラリアットで倒し、宮崎に「上れ!」と指示。尊敬する先輩の命令に素直に従う宮崎を待ち受けていたのは、京子の雪崩式ブレーンバスターだ。しかしその隙にこっそり起き上がっていた渡辺が京子めがけてダイビングボディプレス。渡辺はこの勢いでもう一度コーナーに。京子もブレーンバスターを狙ってコーナーへ…。起き上がった宮崎は、京子と渡辺をまとめてド派手に投げ落とし、トップロープから美しくムーンサルト発射!まともに食らってしまった京子だが、王者の意地で肩を上げる。続く直伝デスバレーボムのフォールは渡辺がカット。渡辺が宮崎をスクリュードライバーでフォールすると京子がカット。終盤はまたも壮絶なラリアットによる打撃戦となり、ラリアットでフォールしては返し、フォールしてはカット…と3人それぞれ一歩も退かず。そんな厳しい戦いでも打ち勝つのが井上京子!何度返されても勝つまでラリアットを打ち続け、ついに宮崎からスリーカウント!京子の剛腕が唸りを上げ、リベンジ達成の白星をもぎ取った。ベルトを死守した京子は「6回防衛してきた中で一番厳しい試合だったと思います」と安堵。目標の7回防衛までいよいよあと1つと迫った。稀代の天才レスラー・井上京子ならきっと成し遂げるはずだ。
第六試合 メインイベント
W.W.W.Dタッグ選手権試合 30分一本勝負
[王者組 カフェイン&クラッシュ]佐藤綾子&デビー・カイテルvs梅咲遥&ウナギ・サヤカ[挑戦者組 ちょぶき]
※第24代王者組 2回目の防衛戦

[王者組 カフェイン&クラッシュ]佐藤綾子&◯デビー・カイテル (22分1秒 片エビ固め) 梅咲遥&ウナギ・サヤカ●[挑戦者組 ちょぶき]
※エスプレッソ
※第24代王者組 2回目の防衛に成功。
なお、ベルトは王者組の意志により返上となる
8.31京都大会でタッグ解消したはずのちょぶきが早くも復活!試合会場で偶然にも隣の席になった(!)ことをきっかけに、互いに女子レスラーの母であると分かると意気投合。こうして娘達の知らないうちに友人になっていた梅咲母とウナギ母。そんな2人の願いは「ちょぶき再結成」…。話し合いの末、親孝行のため再始動を決めたちょぶき。そして早くもタッグベルト挑戦表明!いつも支えてくれて、見守ってくれて、応援してくれる──そんな優しいお母さんの笑顔のため、タッグベルト獲りに出陣!
ちょぶきの挑戦を快諾した佐藤綾子は3児の母。王者として、子どもたちの願いを背負ってリングに上がる。凶器攻撃や乱入を繰り返すのも、Invader or Innovator(INVA)でまだまだやりたいことがあるからだという。そのためにはディアナタッグ戦線の頂点の座は譲れない。パートナーのデビーは来日以来、感情むき出しの暴走ファイトで台風の目となり、常に冷静な佐藤との化学反応で栄冠を手に。「ディアナのベルトを巻いた初の外国人レスラー」と誇った。ビッグマウスだけでなく、実績を残してみせた。佐藤、そしてINVAのメンバーへの思いは強い。ディアナのホームリングであるアミスタでは、大会後にメンバー全員での練習を発案。試合が終わった直後でも熱心に汗を流し、後輩のクームー育成にも力を入れた。そんな熱心なデビーに佐藤が寄せる信頼は厚い。デビーと佐藤にとっては簡単に手放すわけにはいかないタッグベルト。カフェイン&クラッシュが確かな実力と互いを思う心で防衛か、ちょぶきが家族愛の力でベルト奪取か。
ゴングを待たずに奇襲をしかけたのは王者組。ちょぶきを蹴落とし、場外でラフファイトだ。佐藤のおぼんがちょぶきの脳天を直撃。デビーは梅咲のかわいい顔を引っ張りながら「picture time!」とシャッターチャンスを演出し嘲笑う。梅咲を観客席に放り投げブーイングを浴びても涼しい表情。佐藤はウナギを南側観客席に連行。ファンのタオルを奪い取り、ウナギの首を絞める。デビーも梅咲を連れて佐藤の元へ。ちょぶきが反撃開始すると4人は会場中で大暴れ。いよいよ場外カウントが始まるとリングに戻ったのはデビーと梅咲。梅咲がエルボー、デビーがビッグブーツ。それぞれ得意の打撃攻勢だ。梅咲が怒りを込めて渾身のエルボーを打つと、いつも強気なデビーが思わず「ゴメン…」と命乞い。お構い無しにエルボー乱れ打ちの梅咲。するとデビーも強引にテイクダウン、馬乗りでエルボーにヘッドバット。投げ捨てるようなブロックバスターからスピードの乗ったスライディングエルボー。ロープ際の低空ドロップキックで梅咲もろとも再び場外へ。デビーは投げっぱなしキューティースペシャルを食らったもののブレーンバスターでお返し。場外でもしっかり優勢を保ってリングに帰還する。デビーが作った試合の流れを受け取った佐藤。ミサイルキックにジャンピングニー、Wアームスープレックスと流れるように次々と攻めていく。梅咲もドロップキック、低空ドロップキック、ミサイルキックと反撃。キューティースペシャルはカウント2に終わり、ウナギにチェンジ。デビーが佐藤に加勢するが、コードブレイカーですかさず排除。ウナギと佐藤のタイマンに。佐藤がウナギの顔面を蹴ると、ウナギも蹴り返す。佐藤がおぼんで殴打すれば、ウナギもおぼんを奪って殴打。ウナギが来いよと言わんばかりに両腕を広げれば、佐藤も殴ってみろと言わんばかりに頭を突き出す。ウナギがおぼんを使ってのカカト落とし、佐藤はおぼんを使ってのドロップキック。相容れない2人の意地の張り合い。佐藤からデビーにチェンジし、デビーのビッグブーツ。梅咲がカットに入り、ちょぶきの同時キックでカフェイン&クラッシュを場外へ。梅咲はコーナー最上段から決死のダイブ!リングに戻ると梅咲の梅スプラッシュにウナギの大ふへん固めがデビーを襲う。ウナギがスライディングTANAKAでフォールすると、佐藤がレフェリーにおぼんを投げつけてスリーカウント阻止!梅咲は場外で佐藤を懸命に押さえ、ウナギに試合を託すが…。ウナギの城門突破をスクールボーイに切り返すデビー。ウナギが自力でキックアウト。大ふへん者 雲の彼方にでウナギがフォールすれば、梅咲を振り切った佐藤が文字通りレフェリーの足を引っ張り再びスリーカウント阻止!これには場内大ブーイングだ。そうこうしているうちにデビーはそろりそろりと脱出…。異変に気付いたウナギはデビーを追う。しかしこれはデビーの罠!近づいたウナギの顔面に珈琲毒霧を噴射!慌てて飛び出した梅咲にも珈琲毒霧おかわりだ。2杯目のコーヒーは読めなかった梅咲…場外へ転げ落ちてしまう。そして王者組が2人がかりでウナギを狙う。数的有利を活かしたカフェイン&クラッシュだが、梅咲のカットがスリーカウント寸前で間に合う。デビーがウナギに、佐藤が梅咲に、同時ジャーマンの見事な共演。これでいよいよウナギとデビーの勝負に。ウナギのダウンしたふりからのエビ固めはカウント2.99、デビー危機一髪!ピンチを自力で脱したデビーが必殺のエスプレッソで熱戦に終止符を打ち、憧れの日本のビッグマッチで大きな大きな白星を掴んだ。全てを捨てる覚悟でアイルランドから日本マットに乗り込んだ、その勇気が実を結んだ瞬間だった。
こうして王座を防衛したカフェイン&クラッシュ。ところがここから誰も予想しなかった急展開に…。佐藤は「2度目の防衛に成功しました!アイルランドから来たデビーと日本でチーム組んで、後楽園で勝てて…最高に嬉しいです。嬉しいんですけど、今日でこのベルト返上します。別のベルトを狙いに行きます」と今後は他のベルトに挑戦するため、なんと防衛したばかりのタッグ王座を返上!デビーはシングル王者の梅咲を指差し、ディアナの頂点獲りを示唆。愛おしそうにベルトを一度抱きしめ、じっと見つめて頷いた後、ベルトをリングのロープにかけて一足先に退場。その背中にファンは大きな拍手を送り、デビーの決意を支持した。佐藤は「気持ちは伝わったよ。お母さんのため、誰かのために頑張るって最高に良いじゃん。SNSで煽り合うなんかより、こっちのほうが美しい。だから、もう一回その気持ちでタッグベルトに挑戦してください」とちょぶきの姿勢を称賛。そして佐藤も、必死に守り抜いたベルトをロープにかけて去っていく…。リングには持ち主のいない2つのベルトと、そのベルトに手が届かなかった2人。敗者は無言でリングをあとにした。
バックステージでは涙を浮かべながらも穏やかな微笑みで「お互い別の目標に向かうことでタッグチームを離れることは悲しいけど、いつも支えてくれる佐藤さん、ありがとう」と佐藤への感謝を語るデビー。リングでは熱すぎてだれも手に負えない彼女だが、リング外で見せる人柄が佐藤を突き動かしているのかもしれない。佐藤も「誰よりもディアナの一員として、誰よりも練習してる。日本のプロレスの聖地で勝利をプレゼントできて…プレゼントというかデビーの自力ですけどね」とデビーへの思いを明かす。今後デビーはシングルに、佐藤は40歳の誕生日を迎える来年1月よりエリザベスに照準を合わせる。INVA全員の力でディアナのベルト総取りの野望もあるという。
敗れたウナギは「人のためにベルト巻くなんてよくないよね。自分のために頑張らないといけないと思ったし、ちょちょたんと巻きたいって気持ちが足りなかったのかなとも思う。次はお母さんのためにも自分自身のためにも、結果を出したいと思います」とちょぶき再結成の流れを覆し、梅咲も苦笑いだ。梅咲は「南側で自分のお母さんとウナのお母さんが見に来てくれて、応援してくれてた。誰かのために頑張るのも自分のために頑張るのも同じ気持ち。なんでウナギさんと組むの?ってよく聞かれるけどウナのこと好きだし。私たちにはまだまだ力が足りないので、もう一回ちゃんと仕切り直して、ちょぶきでしっかりやっていく」と、母のため、自分のため、そしてウナギのためにも改めてタッグ獲りに向けて歩んでいく。とにもかくにも、現在タッグ王座は空位。これからのタッグ戦線はさらなる嵐が吹き荒れる予感だ。